今回取り上げるのは、寝具大手の西川産業のスマホ向けアプリです。

まずは、日経MJの記事から要約。

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<深い眠り アプリで誘う>
・あなたの睡眠、診断します。
・寝装寝具大手の西川産業は、睡眠を助けるスマートフォン向けアプリの配信を始めた。
・寝ている体の動きをセンサーで検知し、設定時間の15~30分前からスムーズ
に起きられるタイミングで目覚ましが鳴る。
・睡眠時間や寝つきのよさなどの5項目で眠りを評価する機能も搭載した。
・睡眠診断はカレンダーに記録され、月間睡眠グラフとして表示できる。
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このサービス、無料なので、当然このサービスによる売上はありません。

では、何を狙ったものなのか、これを考えてみたいと思います。

人々の関心のあるところには、コミュニケーションが生まれます。
そして、コミュニケーションがあれば、そのコミュニケーションがもたらす心地よさを顧客価値(ベネフィット)として、商売が成立します。

共通の価値観を見出す人との会話は楽しいものです。打てば響くというような共感体験というのは、心地よいですよね。

その心地よさに対して、対価をお支払いいただくというわけです。

私は、これをコミュニケーションビジネスとよんでいます。

例えば、化粧品や洋服。

化粧品や洋服は、その機能を提供しているというより、その商品を媒介とした心地よいコミュニケーションによる共感体験を提供しているといったほうが、よりウェートが高いかもしれません。

子育てに忙しいママさんだと、独身時代より化粧品や洋服にお金をかけなくなったりします。そして、昔は何であんなに馬鹿みたいにお金をかけていたんだろうと自問自答したりするわけです(笑)
そして、安価な化粧品や洋服をつかっていても、それはそれで、その機能には満足していたりします。

では何にお金をつかっていたかというと、それは、価値観のあう美容部員や店員とのコミュニケーションです。

西川産業のスマホ向けアプリも、このコミュニケーションビジネスをねらったものと推測されます。

つまり、

健康志向の人々に話題を提供することにより、睡眠に対して関心が高まる
⇒コミュニケーション欲求が高まる
⇒売り場に来る
⇒売れる

というわけです。

このコミュニケーションビジネスの利点は、以下の通りです。

①高い値段に設定できる。
商品を購入する真の目的がコミュニケーションだとすると、購入しているのは、「人との会話」ですので、替えが聞かない分値段を高く設定できます。

②顧客教育
コミュニケーションすることにより、顧客教育をすることが可能となります。西川産業の場合ですと、眠りに対して正しい知識をもってもらい、こだわりを持ってもらうこと、ということになります。こだわりを持ってもらうことができれば、高級寝具を製造している西川産業としては、そのこだわり に応えられる可能性が高いわけで、得意客を獲得しやすくなります。

コミュニケーションビジネスは、非常に広い概念であり、人々の関心があるところに、もれなくあるといっても良いです。

特に、商品で差別化しにくい場合、商品のよさを単にアピールしてもなかなか簡単に売上は上がりません。

そこで、まず、商品関係する事象そのものに対して関心を高める、そして、対人コミュニケーションという接近戦つまり、人と人の関係性に、商売の接点をもっていくという手法をとります。

このような手法をとっている企業って、こうしてみるといっぱいありますよね。

証券会社なんかも良い例です。