今回のテーマは、「擬態」です。

擬態(ぎたい、mimicry, mimesis)とは、
他のものに、ようすや姿を似せること。
動物が、攻撃や自衛などのために、からだの色や形などを、周囲の物や植物・動物に似せること。

動物の擬態の例としては、例えばコノハチョウが自らの姿を枯葉に似せて目立たなくすることなどが挙げられる。またアブが、ハチに似せて目立つ色を持ち、ハチに擬することなども挙げられる。

一見ミツバチのような、ハチに擬態したハエ
[要出典]進化によってある特定の環境に似た外見を獲得して擬態するもの(昆虫類など)と、自分の外見を変化させる能力を獲得して擬態するもの(カメレオンなど)がある。

(以上、Wikipediaより抜粋)

このまさに、「擬態」を行って、商売をしているところをみつけたので、紹介してみたいと思います。

まずは、日経MJからの記事から。

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<焼酎をワイン感覚で>
・酒類卸の本坊商店(鹿児島市)は、鹿児島県内の蔵元8社と共同で女性向けにワイン感覚で飲む芋焼酎の統一ブランド「KAORI」を開発。
・自宅に一升瓶を置いて飲むには抵抗があるという女性客の意見を反映してワインボトルをイメージした容器やラベルで購入しやすくした。
・アルコール度数を12度と通常の芋焼酎より低めにして、冷蔵庫で冷やしてストレートでワイングラスで飲めるようにした。
・フルーティな香りがする県産芋を原料に使用したり、すっきりした味わいが出るように麹(こうじ)をブレンドしたりするなど各社がそれぞれ工夫を凝らした銘柄を開発した。
・各蔵元2千本限定発売となる。各500mlで販売価格は、鹿児島県内756円、県外は840円。
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上記の通り、この企画は、ワインのような焼酎を開発することで、ワインを飲んでいるような女性客を取り込むことを狙ったと企画ですが、
この企画のビジネス的な意味を考えてみます。

①今まで焼酎に手がのびなかった層にアプローチできる。
ここで、この焼酎に手がのびなかった層の特性が重要です。ワインは、焼酎や日本酒にくらべて、ニーズが広くて浅いといわれています。

つまり、ひろい範囲の購買層が期待できる一方で、銘柄にたいするロイヤリティは低く、いわば、浮気をされやすいという特徴を持ちます。

ですので、まずはこのワインの浮気な客層という特徴をつかって、効率的に焼酎を試してもらえる、というメリットがあります。
そして、いちど試してもらえれば、焼酎のもつロイヤリティの高さを生かしてリピーターを獲得できるかもしれません。要は、両者いいとこどりが狙える可能性があるのです。

また、蔵元8社と共同で複数銘柄を同時に投入するということなので、この浮気な客層を攻略する上では、非常に整合的だと考えられます。

②ワイン文化と焼酎の良質な化学反応が期待できる
もともと、芋焼酎にかぎらず焼酎で香りを楽しむ文化はあったものの、香りを楽しむということをより深く追求したのは、ワイン文化のワイングラスのそれでしょう。

こうして、

芋焼酎=ワイングラスで楽しむもの

という図式を描くことができれば、新しい用途、女子会やパーティ需要も見込むことができます。
晩酌からパーティへとあたらしい用途を普及させるところまでもっていくことができれば、大成功でしょう。

その他にも、この企画が優れていると思われる点があります。

①ターゲットがはっきりしている
自宅に一升瓶を置いて飲むには抵抗があるという女性客、とりわけ女子会需要を狙っていると思われますが、このTPOまで明確にしている点、いわゆる”刺さる”商品になっているといえます。
500mlという、一本当たりの容量の少なさも、ちょっとだけ試したいという女子心理を意識したことをうかがわせます。

②商品で差別化できている
ワインのように飲むことを意識して、アルコール度数を落として、ストーレートで飲める工夫するなど、他の焼酎とは明確な差別化ができている。

③商品名・ブランド名が的確
芋焼酎の香りを楽しむということを追求して、それをそのまま商品名「KAORI」としている。看板に偽りなしということでしょう。

④カラー戦略
パッケージデザインで統一して、色だけ違うというかたちをとっている。これは、全部そろえて飲み比べてみたいという心理を誘発することが期待できます。

⑤蔵元8社での統一ブランド
蔵元8社での統一ブランドということで、一社で行うより、より広範な販路が期待できる。

等々、なかなか周到に考えられた企画だと感じられました。

(参考)http://www.hombo.info/info/004.htm

この「擬態」という考え方、ほかでも応用できそうですね。