今回はちょっと趣向を変えて、エッセー風でまいります。

ブランドイメージを買っていた

先日、帰省をした折のことです。

新幹線の乗換駅で、いつも買っているおやつに、藤田屋の『大あんまき』があります。

これです。

http://www.anmaki.jp/

※スマホでは画像が見れないみたいです。

この素朴なお菓子、いつも何気なく買っていたのですが、今回、とある出来事がありました。
その出来事のおかげで、なんでこのお菓子を毎回買っていたのか、が分かりました。

今回はそのことについてお話しします。

この『大あんまき』、いつもは簡素な即席の売り場で、いかにも工場から出てきたといったような、白い割烹着と’ほっかむり’をしたおばさんが売っていました。

ところが、今回帰省した時は、その売店が閉まっていて、別のお土産売り場に売っていました。

それも、いつもだったらガラスケースに陳列されているのに、今回は普通の菓子パンと同じように陳列され、ビニールでパッケージされたものが売っていました。

なんだか、がっかりしてしまいました。

あの素朴なお菓子は、素朴な感じで売っていたからよかったのに、そのような売り方だと’工業製品’となってしまったようで、とても寂しい感じがしました。

それまで何気なく『大あんまき』を買っていたわけですが、失われて初めて、それまで買っていた理由がわかった気がしました。

我々は、モノを購入するときには無意識ではありますが、商品を取り巻くイメージも一緒に購入しています。

実家に帰ると、子供のころから慣れ親しんだ方言がきこえてきたりして、懐かしい気持ちになります。そしてその気分が、その素朴なお菓子と、とてもよくマッチしていたのでした。

つまり、帰省の折、大あんまきを買っていたのは、大あんまきのもつ素朴感とでもいうブランドイメージを買っていたわけです。

そして、大あんまきのブランドイメージに、売り場のたたずまいが非常に貢献していた、ということがわかったのでした。

商品にこめた想い

商品にこめた想いというのは、意外なほど伝わるものです。

この件があってから、『大あんまき』をHPで調べてみました。

そうしたら、こんな言葉がのっていました。

『ほんとうは、もっと日持ちのするつくり方もあるのですが、
藤田屋の大あんまきの消費期限は、お求めの翌日まで。
例えば餡に入れる砂糖の量を増やせば、
もっと日持ちのするようにつくることもできます。
けれどもそうすると、あの大きさと、最後までおいしく食べられる
控えめな甘さを守ることはできません。
たくさん売ることよりも、おいしく売ることを大切にしています。』

とか

『売り切れでお叱りを受けることもあります。
せっかく買いに行ったのに売り切れで買えなかった。
そんな声を時にお客さまからいただきます。
たいへん心苦しく思いながら、
それでもわたしたちは、 当日製造、当日出荷という考えのもと、
つくりおきをすることはありません。
たくさん売ることよりも、おいしく売ることを大切にしています。』

とか

『軽くて運びやすいケースでは、だめでした。
大あんまきは息をしています。
だから、 できあがった大あんまきを入れておく箱は、 運送に適していることよりも、
通気性が良く、 余分な水分や熱をとることを、優先させています。
乾きすぎず、 しっとりとしたやわらかさにするためには、
箱のふたの開け閉めにも長年の経験と勘が必要。
たくさん売ることよりも、 おいしく売ることを大切にしています。』

この言葉をきいて納得です。

このようなメッセージがあるとは知らなかったのですが、この商品の思想を、なんとなく感じ取っていたような気がします。

だからこそ、ビニールのパッケージが商品の思想を損なった気がして、拒否反応が出てしまったのかもしれません。

伝統という資産の偉大さ

大あんまきは、伝統のある商品です。
伝統があるということは、過去からずっと人々から支持され続けてきたということを意味します。

人は商品を買うとき、その商品を他人がどう思っているかということを気にします。なので、過去からずっと人々から支持され続けてきたという事実は、とても重いわけです。

従って、伝統という資産は、ただそれだけで偉大なわけです。

但し、伝統ある商品が偉大であるためには、ひとつ条件があります。

それは、”変えていない”という条件です。

”変えてない”商品が支持され続けているからこそ、意味があるのです。

まとめ

いずれにしも、伝統のあるブランドは、商品を変えるのには慎重であるべきだし、売り方についてもそれは同様で、プランドにふさわしい売り方というのが求められる、ということになります。

今一度、自分が売っている商品がどのように売られているのか、チェックしてみるといいとよいかもしれません。