今回取り上げるのは、「通販生活」です。

●これどういうもの?

これはどういうものかというと

・カタログハウスが発行するの通信販売カタログ誌
・有料でありながら、購読者数は100万を超える(114万人)
・身近には売られていない商品を消費者に推薦するというのが基本方針で、安値を売りにすることはない。
・ひとつのジャンルの商品を多く列挙するのが一般的な通販カタログ誌とは異なり、ひとつのジャンルにつき一品の紹介である。
・これは良い商品を厳選して薦めるためで、また商品の検査や購入後のサポート、商品の紹介をよりよく行うためとのこと。
・商品とは関係ない記事やコラムも紙面には含まれ、その内容は日常的な話題から環境問題、政治的な話題までと様々である。
・直近では「原発国民投票」を呼びかけるなど、通常の通販カタログの範疇にはおさまらない。

といったものです。

有料のカタログ誌でありながら、114万人もの購読者がいるのだからすごいですね。
普通、商品カタログというと無料が当たり前という感覚がありますが、それが有料であるにも関わらず、これだけの購読者なのですから驚きです。

114万人の購読者ということは、購読料だけで、年額6億円強(※)ということになります。

(※)購読者数(:114万人)× 単価(:180円)× 回数(:3回 年3回発行)

また、ちょっと確認はできていないのですが、通販生活が広告を取っているとすると、これにさらに広告での収入が加わります。

なかなかのものですよね。

このすごさは、なんといっても、114万人という購読者数にあります。

ちなみに、日本で一番部数が多い新聞は読売新聞ですが、1000万部ほどです。

ということは、通販生活の114万人というのは、読売新聞の1/10に匹敵します。

同じ規模の新聞だと、報知新聞あたり、このあたりと大体同じくらいです。

雑誌でいうと、週間少年マガジンが130万部なので、週間少年マガジンより若干少ないくらい、ということになります。

このように比較すると、コンビニなどでよく目にする新聞や雑誌と、遜色ないくらい部数が出ているのは、ものすごいですよね。

●マーケティング的な仕掛けは?

さて、すこし話がそれましたが、この通販生活のマーケティング的な仕掛けを見ていきましょう。

①まず情報を売るという発想

商品カタログは無料が当たり前と感覚があると前述しましたが、通販生活では、そもそもこの発想が違うようです。

まず、商品を売ることを第一としていないところが特徴的です。

まず、消費者におカネを払うだけの値打ちのある情報(つまり素晴らしい商品)を伝える。
伝えるからには、徹底的に詳しく、しつこく、その商品の素晴らしさをつたえる。
そして、情報を伝えるついで商品をうる。

このような順番になっています。

つまり、第一に情報提供屋であれ、そしてその情報に共感した人に、ついでに買ってもらうという発想なのです。

であるから、情報提供に対して対価をいただく、つまりカタログ誌が有料、ということになるわけです。

このような売り方をしていると、消費者は商品を買っているといより、通販生活の情報提供に対して、サービスを受けているということになるので、商品のファンであると同時に通販生活のファンということになるでしょう。

こういった売り方だと、通常の通信販売のように価格競争に巻き込まれたりしないで、顧客に感謝されつつも高収益体質を維持できる、そういう理想的な商売ができる可能性が高いといえるでしょう。

それから、この通販生活、記事自体が素晴らしいです。例えばこれ。

http://www.cataloghouse.co.jp/fashion/slippers/1101076.html

以下抜粋。
【島根県邑南(おおなん)町のおばあちゃんたちが手づくりしている木綿の布ぞうり】

・島根県邑南町(おおなんちょう)おばあちゃんたち11人が、昔のまんまのやり方で1足1足、手塩にかけて手編みした昔ながらの布ぞうりです。
・素朴な木綿の足ざわりが、サラッとして心地よいこと。
・布が汗を吸ってくれるから素足でもベタベタせず、スリッパとは比べようのない涼やかな履き心地。頑張っても1人で1日2、3足しか編み上げられない希少品です。

そして、おばあちゃんが布ぞうりを編んでいるところを写真で、生産者の”顔”を訴求しつつ、苦労話も混ぜたりします。

・22本の糊のきいた木綿の細布を使って、布目をギュッギュッと揃えながら丹念に編み上げていきます。
・はだしで履くものだから、やわかすぎてもかたすぎてもダメ。
・つま先からかかとまでシメすぎずユルすぎず、同じ力加減で同じ速さで、気を抜かずによしよしと編んでいかないと、
足なじみのいい厚さの小判型になってくれないそうです。

この『よしよしと編んでいかないと』あたりの表現、おもわず、買いたくなってしまいます。

この記事のように、生産者の顔がみえるような苦労話があると、価格が少々高くても納得がいきますよね。

セールスレターのお手本のような記事だと思います。

●応用例は?

「まず情報を売るという発想」に近い発想と感じるのは、糸井重里さんの「ほぼ日刊糸井新聞」です。
あれは、マネタイズの手段としては、ほぼ日手帳なのかもしれませんが、日々の記事は、ほとんど手帳に関係がありません。

毎日、おもしろい記事や、ほっとする記事をいつもありがとう、これだけお世話になっているのだから、手帳くらいは買わないとね、もちろん、手帳そのものも便利そうでよさそうだから、という感じで消費者は買っているのではないか思います。

そいういった意味で、「まず情報を売るという発想」に近いものを感じます。

というより、そもそも新聞なわけで、「まず情報を売る」というのはあたりまえですが、逆に、まず情報を売っているからこそマネタイズが容易になる、そういうことになるのだと思います。

●おまけ

私がいま使っている枕は、通販生活で買った枕です。
私が肩こりで長年悩まされているため、親がプレゼントしてくれたものです。

確かに品は良く、もう5年くらい愛用しています。

今度枕を買うときも、おそらくこの枕を買うでしょう。

通販生活にしても、その枕メーカーにしても、良い品を長く愛用もらい、リピートしてもらうという、とても幸せな商売をしていると思います。