今回とりあげるのも、食品スーパーのオオゼキです。

前回からの続きです。

「これどういうもの?」のパートは再掲しておきます。

●これどういうもの?(再掲)

これはどいういうものかというと

・東急線や小田急線などの沿線を中心に出店している食品スーパー
・現在36店舗を展開 
・で、その特徴は
 ①正社員中心のスタッフ構成(正社員比率70%)
 ②個店主義。以下HPより抜粋。
「『個店主義』とは、あまり聞きなれない言葉ですが、それぞれの店舗でご来店されるお客様に合わせて個別の品揃えを行っていくことを通じて、真の地域密着を実現する店作りなのです。店舗運営に関する多くのことを各店舗の担当者に任せることによって、お客様が要望する商品があれば、たとえ一品からでも、あらゆる方法でご提供していく…。」
 (参考)http://www.ozeki-net.co.jp/company/shop.html

 ③売り場面積が比較的小さい。
  オオゼキの売り場面積は、100~166坪の小規模の店舗が中心。
  業界の常識では、通常500~800坪が必要といわれている。   

・で、業績はどうかというと
 ①経常利益率7~8%(業界平均の2~3倍程度)と高収益。
 ②さらに年々業績を拡大させている(23年連続増収増益を達成)
 ③そしていままで一店舗たりとも閉店した店がない

といったものです。

イオンなどの大手の資本力もない、大量一括購入による低価格の仕入れもしない、
それでいてこの業績。

すばらしいですよね。

このすばらしさを、どのうように実現するのか、
そのマーケティング的な仕掛けを見ていきましょう。

●マーケティング的な仕掛けは?

④個店主義

通常の大手スーパーの場合、大量一括購入による低価格という規模の経済によるメリットを追求しようとします。

それに対して、オオゼキは「欲しい商品がある、魅力的な商品がある」ですから、それを実現するには、地域の顧客のことをよくわかっていて、それに細かく対応しなければなりません。

そうなると、必然的に、店舗の独自の判断による独自の品揃えということになります。

大手のスーパーチェーンがPOSデータを見て、本部で方針を決めて、そして低価格の大量仕入れを行うのとは正反対ですよね。お客さんにじかに接する人たちが、何を売るかを決めて、価格も決めて、そして結果に対して責任を持つ、ということをやるわけです。

これには、複雑な判断・オペレーションが必要なので、正社員中心のスタッフ構成というのは非常に整合性が高いということになりますし、自分の判断で会社の業績が左右され、すぐにフィードバックされるわけですので現場のモチベーションも違ってくるでしょう。

ちなみに、複雑な判断・オペレーションを可能にしている正社員のノウハウは非常に強力で、廃棄ロスが通常のスーパーだと3~4%なのに対して、オオゼキは0.1%以下だそうです。

このようなオオゼキの姿を見ると、ノウハウという資産の強力さを思い知らされます。

強力なノウハウという資産を備えた社員がいれば、資金力や市場支配力などなくても立派にやっていけることを証明しているようにも思えます。

企業は、「人」だ、ということはどのような企業人も口にすることですが、改めてそう思います。

⑤人を生かしきる仕組み

企業というのは、当たり前といえば当たり前ですが、人が能力を発揮すれば業績が上がります。

能力を発揮するということををもう少し噛み砕いていうと、「よく考え高い判断力をもって適切に行動する」ということです。

通常、行動の質を担保するため、マニュアル化ということを行うわけですが、オオゼキにはマニュアルがありません。

マニュアルに頼らないぶん、自分のあたまで考えて行動するということをするわけですので、判断力がつくということになります。

正しい行動を取るために、マニュアル化し目先の実をとるのではなく、正しい行動ができる人になる、ということを優先するわけです。

ただし、なんでも自由にしてよいというわけではなく、目的のために正しい行動をすることが重要です。

オオゼキの場合、その目的は、「今日来たお客さんが、また明日も来てもらえるようにすること」です。

この目的を達成するために、
①小さなお子さん連れのお客様は、レジ係の人が袋詰めをしてくれますし、
②レジが空けば、「こちらのレジをご利用ください」と並んでる人に促すし、
③仕入れ担当は、喜んでもらえるよう選びに選び抜いた商品を供給するし
④自転車が出しにくそうだったら、警備担当が、わざわざ自転車をだしてくれる

といったことを、”自分の判断”で行うのです。

こういった体制だと、大手のそれと比べると、組織として考えている量が圧倒的に違ってきます。

大手といわれる組織では、往々にして管理という側面が濃厚になるため、本部が頭脳で、末端はオペレーションとなりがちです。そうなると、末端は頭を使わず、ミスなくオペレーションをせよということになってしまいます。

このような組織は、確かに効率はよく、ミスは少ないかもしれませんが、オオゼキのそれと比べると「組織全体としての考える量」が相対的に小さくなってしまいます。

経営の視点として、「組織全体としての考える量」というのは重要な視点だと思います。

●おまけ

2回にわたって、オオゼキをとりあげました。

オオゼキをみていると何もかもがうまくいっているように思います。

そして、顧客からの愛され度が、ハンパない!

売上でNo1でないかもしれない、利益でNo1でないかもしれない、でも愛され度ではNo1。

いい会社ですね。