今回取り上げるのは、『Baton’ dor(バトンドール)』です。

●これはどういうもの?

これはどういうものかというと

・ 一言で言うと、江崎グリコから発売された高級ポッキー
・ ポッキーといっても、コンビニとかで売っている普通のポッキーじゃない
・20本で481円。一本当たり24円。通常のポッキーが一本5円くらいだから、凡そ5倍の値段。
・確かに高いが、澄ましバターという特殊なバターを使っており、独特の濃厚な味わいがある
・売っているのは大阪のデパート2店舗のみ
・5億円という当初の年間売り上げ目標は半年で達成。行列がたえないほどの人気ぶり。

ということです。

(参考)http://www.glico.co.jp/batondor/index.html

ここのところ、プレミアムとか”大人の”と謳ったお菓子が大人気ですが、その’はしり’となったような商品ですね。

●マーケティング的な仕掛けは?

さて、この商品のマーケティングな仕掛けを見ていきましょう。

①ブランド戦略

この商品のもっとも特徴的なのは、ブランド戦略です。
この商品パッケージをみるとわかるのですが、江崎グリコとかポッキーという言葉が、前面にでていません。

もし、ポッキーとしてこの商品をみると、20本で481円というのはいかにも割高です。
たとえば、プレミアムポッキーというネーミングだったらどうでしょうか。割高に感じますよね。
ですので、ポッキーという言葉やそれを連想させる江崎グリコというという言葉は、意図的に使っていないのだと思われます。

つまり、Baton’ dor(バトンドール)はBaton’ dor(バトンドール)であり、江崎グリコでも、ポッキーでもない、新たなブランドということになるわけです。

②チャネルの選択

この商品、販売チャネルの選択も巧みです。

江崎グリコでも、ポッキーでもない、とはいってもポッキーとおなじ売り場にBaton’ dor(バトンドール)があったらどうでしょうか。

やはり、プレミアムポッキーとみなされないでしょうか。

そこで、ポッキーと販売チャネルを分離するということをしています。

どうやら、もともと高島屋から開発依頼があってスタートした商品のようなので、意図的にそうしたわけではなかったかもしれませんが、結果としては、ポッキーと販売チャネルを分離されていることで、全く、ポッキーとは別物として認知されることに成功しています。

実際に売り場の画像を見てみましたが、お土産もの売り場といったような感じでした。
つまり、クッキーのような焼き菓子の一種という位置づけになるのだと思います。

今回、Baton’ dor(バトンドール)での成功で、江崎グリコとしては、お菓子屋さんメーカーだけでなく、ギフト用高級洋菓子という分野にも進出できたといっても良いでしょう。

これから、Baton’ dor(バトンドール)ブランドで、あらたな商品開発も期待できるでしょう。

③分野提案

この商品のもうひとつ秀逸なところは、ウェルカムスティックという分野提案です。
分野提案、前回やりましたね。

ウェルカムドリンクというのはありましたが、ウェルカムスティックというのはいままで聞いたことがありませんでした。

高級リゾートホテルだとホテルに着いたときにウェルカムドリンクを提供するというサービスはありますが、それと一緒に、ワイングラスに何本かのBaton’ dor(バトンドール)添えられていたらどうでしょうか。

リッチな気分に浸れそうですよね。

そのほかにも、高級なバーなんかのおつまみとしても、プラミアム感があって喜ばれるかもしれません。

いずれにしても、ウェルカムスティックという秀逸な分野提案があると、その用途がどんどん広がっていく感じがします。

●応用例は?

今回の、Baton’ dor(バトンドール)では、親ブランドと別ブランドを立てているわけですが、同じような例として、自動車業界の例が挙げられます。

例えば、トヨタに対するレクサスや、ホンダに対するアキュラです

これらも例も、大衆車のイメージが、高級感、プレミアム感のある車を販売する場合、そのブランドがかえってマイナスに働くということがあって、ブランドを分離したのだと考えられます。

ブランドを分離するケースとしては、「大衆向け】VS「高級」以外にもあります。

例えば、キッコーマンに対するマンズワイン。

マンズワインというワインのブランドは、実は、醤油のメーカーであるキッコーマン傘下です。

もし、マンズワインではなく、キッコーマンワインであったらどうでしょうか。

なんか醤油がはいっていそうな気がしてしまいますよね。

このように、特定商品に強いブランドイメージというのは、大変強力ではありますが、強力である故に、別分野の商品に進出する場合は、ブランドを分けたほうがよい、ということになります。

●おまけ

この、Baton’ dor(バトンドール)まだ東京では売っていないようですが、この飢餓感が購買意欲をそそります。

わたしもちょっと食べてみたいとはおもいましたが、
食べログをみたところ、2時間待ちの行列ができているのだとか。

http://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27068695/

もう少し手に入れやすくなったら、バレンタインデーなどにも、話題性があってよさそうですね。