今回 は、合成皮革(ノンレザー)製婦人靴トップシェアのアマガサの「ジェリービーンズ」を取り上げてみます。

このジェリービーンズ、創立30周年という老舗のブランドですが、なかなか巧みな戦略で売り上 げを伸ばしているようです。

今回は、その巧みな戦略見ていきましょう。
まずは、3/28のMJの記事から。

これどういうもの?

・同ブランドは、アパレル並みにトレンドを先取りして年2000種もの新製品を投入し、若年世 代を巧みに取り込む。
・合成皮革とは、合成樹皮を塗り重ねて天然皮革(本革)に似せたもの。
・ブランドが誕生した1984年は、「本革と比べて合皮は安いものの質が劣る」とみられ、「安 かろうダサかろう」とのイメージが大勢を占めていた。
・当時のファッション性のある靴といえば、本革中心。
・対抗策としてまず「どうやってファッション性を提案するか」から考えた。
・重視したのが商品展開の迅速さだ。
・売れ筋をいち早くみつけても、売り時を逃しては意味はない。
・ブランド誕生から数年後から、1年を8シーズンに区切るようにした。
・本革の靴では年4回が限度だ。
・8回という商品展開はアパレルなみだ。
・トレンドを先取りして次々と提案する商品政策が、顧客を引き付ける。
・トレンド色の強い製品が企画から35日程度で店舗に納入される。
・「『買いたいな』とおもったときに商品がある。」ようにした。
・ジェリービーンズというブランド名さながらに、ノンレザーならではのカラフルさ、発色の良さ をアピールする。
・メインターゲットは10代から20代。
・中心価格帯は、5900円。
・1万円を超す高級靴には見られないような遊び心のあるデザインも、「5900円だったら冒険 できる」と客の支持を集めている。
・かつてはノンレザーだからという理由で取り扱ってもらえなかった百貨店からも出店要請が来る ようになり、百貨店は靴専門店やファッションビルと並ぶ主要販路に成長した。

マーケティング的な仕掛けは?

①業界でやっていないことをやる

まず、このブランドの素晴らしいことは、業界でやっていないことをやったというところ。

当然ですが、業界でやっていないことをやるということは、差別化の源泉となるわけで、それだけで競争優位につながる場合があり ます。

ですので、意識的やるべきなのですが、業界で初めての試みというのは、往々にして内部的な抵抗は大きいものです。

特に、同ブランドの「年2000種もの新製品、8回の商品展開」というのは、それだけの開発体制が必要であり、こと生産性の観 点ではおよそ効率的とはいいがたいものがあるわけで、相当の摩擦を生んだことが想像されます。

さらに、在庫の問題や、店舗での商品入れ替えの手間、商品知識の展開など、導入当初はさまざま困難があったことでしょう。

そうした困難性を克服し、やりきったところがすごいところです。

②資産とベネフィット

しかし、困難であることは確かです。

こうした困難を引き受けるには、それを上回る優位性がなくてはいけません。

このブランドの場合、その優位性は次の2点であると思われます。

1.商品との整合性が高い

 合成皮革というのは、本革の商品と比べれば、いわば、「偽物」です。

しかし、一方で、ファッション性には、モード・流行という要素がり、商品展開を迅速に行って、流行・モードを追うことでファッショ性追及するというのは、理にかなっています。

そして、その流行・モードを追う戦略は、その商品の持っている偽物の良さ、つまり「カラフルさ」、「発色の良さ」と資産(属性)との整合性があります。よって優位性があると考えられます。

2.新商品効果
 

 一般論としては、新商品というのは、一時的には売り上げ増につながることが多いです。

よく近くに新しくできたお店にには、一度行ってみたくなりますよね。
自分に合うかどうか、試してみたくなるわけです。

それと同じで、新商品というのも、それが自分に合うかどうかチェックしたくなります。

また、いつも新しい商品がでているお店であれば、来店頻度があがることも期待できます。

このように、戦略を考えるうえで、

1.資産(属性)にマッチしているか、

 ということと、

2.ベネフィット(顧客のうれしさ)はあるか

という2点は、常に考慮しなくてはいけない点だと思います。

応用例

①コーチ

バックのブランドであるコーチは、新商品の開発を月に一度のペースで行っているそうです。

これも、高級バックとしては、相当頻繁なペースですよね。

そして、その新商品をフィーチャーテーブルという目立つ陳列台に並べます。

つまり、売り場を新しくするわけです。

コーチも、高級バックのメーカーとしては、やや価格を抑えたところがあるので、立ち位置としてはジェリービーンズと類似しています。

②ショーウィンドウのディスプレイ

街歩きをしていると、ショーウィンドウのディスプレイに目が行きますが、このディスプレイを頻繁に変えるというのも、目先をかえるという意味では有効で、新商品効果と同じ効果があると思われます。

極端なことを言うと、昼と夜で、ディスプレイをかえてもよいかもしれません。

昼と夜で客層が違うだろうし、それに合わせてディスプレイを変えることも考えられます。

おまけ

業界でやっていないことをやるといっても、できればジェリービーンズのように競合がやりたがらない、やりたくても追従できないようなことだと、なおよいです。

企画から35日程度で店舗にならぶというのは、追従したくともできないですよね。

それから、ジェリービーンズというブランドの名前ですが、おそらく、アメリカのあのカラフルで甘いおやつをイメージして作ったと思わ れますが、商品のイメージとマッチしていて、とても良いと思います。

名前がコンセプトをあらわしているといってもよいと思います。

このような名前だと、記憶にも残るし、商品との整合性があり、消費者としても納得感が得やすいのではないかと思います。