今回取り上げるのは、日本に代理店を持たずに、
100社以上とお取引に成功した異色の海外バックブランド、
「オロビアンコ」について取り上げてみたいと思います。

まずは、7/21の日経MJの記事を見ていきましょう。

これどういうもの?

・伊勢丹、高島屋、丸井、、、都内で男性が買い物をしそうな店は、
必ずといっていいほどオロビアンコのバックがある。
・横浜市内のセレクトショップのバイヤーの目に留まり日本に上陸してから15年。
・高級素材の伊リモンタ社のナイロンを使いながら価格は3万~5万円。
・「コストパフォーマンスの良いしゃれたバック」と20~30代の男性に支持され、
取引先は約100社・3000店以上に広がった。
・後発だった同社が販路開拓にために試みたのが、取引先の好みに合わせて作り替える
  ”カスタマイズ戦略”だ。
・販売代理店を介さず、すべての取引先と直接交渉。
・バイヤーの話を聞いて基本の型に「マチを太くする」「縁の色を変える」など手を加えたり、
全く新しい型を作ったりしてきた。
・カスタマイズに対応するため、毎年、イタリアの自社工場に利益の半分を投じ
 「デザインや仕様を変更し、 一つの素材から様様なアイテムを作り出す」
 ハイテク機器を導入してきた。
・1996年に創業。イタリア製造にこだわり、創業当初は中近東の富裕層向けにオーダーメードのバックを販売。
・現在、世界20か国に展開し、うち日本での売上高が7割を占める。

なかなか、素晴らしいですよね。

どこが、そんなに素晴らしいのか、具体的に見ていきましょう。

マーケティング的な仕掛けは?

①バイヤーに合わせてカスタマイズ

バイヤーに合わせてカスタマイズするというのは、非常に効果的だと思われます。

なぜなら、実際に商品を売るのは、メーカーではなく、百貨店などショップであるわけですが、
この実際に売る人の好みに合わせるわけです。

実際に売る人の好みにあった商品であれば、
それは自然に愛着もわくし、営業トークにも熱が入るというものでしょう。

バックのようなものは、自分に買いに行くとよくわかるのだけど、
マチの幅であったり、ポケットの位置や開けやすさであったり、
微妙なところで、好みが違ってなかなかぴったりしたものがみつからないのではないでしょうか。

当然、それはバイヤーの人たちもそれは同じで、潜在的に不満を感じていた、と。

そんな中、その微妙な差異を掬い取ってくれる商品があれば、
バイヤーの人にとっては、大変売りやすい商品となるのではないでしょうか。

自分のアイデアというのは、往々にして過大評価するものです。

だからこそ、効果が大きいのだと思います。

また、カスタマイズしていれば、ここでしか買えないといった
限定性のアピールによるセールス方法もとることができます。

こちらも、効果の高い販売方法となるわけで、ショップに強力な武器を提供しているといえるでしょう。

バイヤーに合わせてカスタマイズすることが、そんなに効果的であるならば

なぜ、ほかのところではやらないのか?

この秘密が、代理店を置かないという方針なのでしょう。

代理店を置くと、そのようなこまかなカスタマイズに柔軟に応えることができないし、
肝心のバイヤーとのコミュニケーションが間接的になってしまいます。

このブランドは、コミュニケーションが価値を高めるということを、
本質的に理解しているのだと思います。

その反面、当然、カスタマイズするには手間はかかるわけで、
それを可能にするべく製造部門への投資をする、と。

また、カスタマイズすることについては、
創業当初オーダーで製造していたいたわけで、それなりのノウハウはすでにある、と。

このようにして、ノウハウと投資が障壁となり、容易に他社からまねされない仕掛けになっているわけです。

カスタマイズという強みと自社が持っている資産とが非常に整合性が取れていて、教科書のような例だと思います。

②ターゲット

さらにいうと、売上の7割を占める日本をターゲットとしたことも素晴らしい。

3万から5万のバックというのは、ブランドものとしては、
ものすごく高いわけではないかもしれないですが、
だからといって安いわけではない。

なので、ある程度購買力があるところでないといけないわけですが、
加えて、オロギアンコの提案力を評価してくれるところでなくてはいけいない。

それが、日本であったということなのでしょう。

日本の市場は、いろいろ注文は多いわけですが、ちゃんと価値があるものには、
対価を支払ってくれるところがありますよね。

●応用例

①丸井『ラクチンシリーズ』

マルイでは、お客様と一緒になってさまざまなメーカーと『ラクチンシリーズ』と称して、
共同開発をしています。

この共同開発というのも、カスタマイズと同じく、実際にショップが商品企画にかかわることで、
コミュニケケーションが強化されて、売上が上がることになるわけですね。

私が使っている財布も、この『ラクチンシリーズ』の財布です。

財布を買いに売り場に行ったとき、唯一ポップで、その機能性をアピールしていたのがこの商品です。

実際に、買う立場としては、このポップにより商品のことがよくわかり、
購入までとてもスムーズに結びつきました。

このラクチンシリーズ、実際、売れているのではないかとおもって
ざっとネットで調べたのですが、非常に好調のようです。

おまけ

ちなみに、オロビアンコも丸井とラクチンシリーズで共同開発しているようです。

(参考)https://voi.0101.co.jp/voi/webshop/nagamaki2/0121.jsp

ということで、早速、丸井に視察にいってきました。

やはり、ラクチンシリーズのオリビアンコの棚があり、そこでポップでアピールしていました。

また、店員とすこし話したのですが、

・オリビアンコは通常は、型をすこしカスタマイズするだけなのだけど、
 丸井は、型から作っていること。

・オリビアンコのロゴのエンブレムも小さくして、すっきりした感じにしている。

・実は、ロゴのエンブレムもとってしまおうという話もでた、とのこと。

 ※ちなみにロゴのデザインも数十種類から選べるそうです。このあたりの徹底ぶりもすごいですよね。

というような強力な営業トークを用意していました。

オリビアンコのカスタマイズ戦略は、ショップの販売スタッフを輝かせる戦略

という見方もできるのだろうと思います。