今回取り上げるのは、葬儀サービスについてです。

イオンなど異業種からの参入組が業績をあげているようです。

なかなかマーケティングがしずらい側面のある商品ではあるわけですが、
どのようなマーケティングで成功しているのか分析してみます。

これどういうもの

まずは、5/12のMJの記事から

・イオンは、2009年に葬儀事業に参入し、11年から追加料金なしの定額プランを打ち出した。
・現在、全国の葬儀社約500社と提携し、火葬式(20万3000円)、家族葬(50万8000円)など値ごろ感を打ち出す。
・1か月に2か所の店舗で開く終活セミナーでは、葬儀以外にも墓や相続、保険など終活に関わる相談に無料で応じる。
・人気はひつぎや遺影写真の体験コーナー。
・終活について具体的に考えてもらうきっかけになる。
・元気なうちはピンとこない人も多いが、遺影写真やひつぎを体験した人は、ほぼ100%事前登録をしてもらえる。
・事前登録とは、店頭やネットで名前や住所を登録しておき、施行時にすぐ対応できるようにしておく仕組み。
・葬儀の施工件数のうち事前登録した人が6割を占める。
・12年から始めたペット葬が好調だ。
・昨年比約3倍の伸び率で推移。
・葬儀社の会員制度と違いを出すために、生きているうちにメリットがあるようにしたいと、今後は事前登録者へのサービスを強化する。
・事前登録者に提供するカードに電子マネー「ワオン」を付けて日常の買い物で割引ができるようにしたり、家族会員制度を整えたりする計画だ。
・一方、09年に定額プランを他社に先駆けて始めたユニクエスト・オンライン。
・もともとは、葬儀の価格比較サイトを運営しており、現在の施行件数は年間1万4千件(取扱高約42億円)。
・両社の料金プランや全国の提携葬儀社に送客するという仕組みはほぼ同じ。
・「店舗が最大の武器」というイオンに対し、ユニクエストは、「人件費より多い」というほど、ネット広告費を投入するサイトを基軸としたビジネスモデルだ。
・イオンは50万8000円の家族葬プランが最も多いのに対して、緊急に依頼されるケースの多いユニクエストは最も安い17万3000円の火葬プランが半数を占める。

マーケティング的な仕掛けは

葬儀というビジネスは、次のような特徴があります。

1.商品の購入する頻度が低い

2.購入タイミングがつかみずらい

こういった商品は、顧客獲得コストが一般的に高くなりがちです。

例えば、このような商品の場合、テレビCMを打ったとしても、それが会社の認知につながるかもしれませんが、直接的に売り上げにつながることは考えにくいです。

ですので、四六時中テレビCMなどの広告を打ち続けるのは、非効率となります。

また、購入タイミングがつかみずらいというのも、季節変動や一定の周期性沿って広告を出したり、キャンペーンをうったりできないという難しさにつながります。

というわけで、このような商品を売っていくには、どのように顧客を獲得していくか。
各社とも知恵を絞らなくてはいけないわけです。

①囲い込み

そこで、イオンが行っているのは、囲い込みという戦略。

潜在顧客に対して、事前に関係性をつくっておいて、いざ需要が発生した時に、自社商品を使っていただこう。こういう考え方です。

イオンは店舗という潜在顧客の日常と濃密につながっている接点があるため、この点とても優位です。
さらに記事にあるように、生前、つまり需要が発生する前に、潜在顧客に便益を図ることをすれば、より囲い込みを強固にすることも可能になってきます。

②ネット広告

一方で、そのような強力な潜在顧客との接点を持たないユニクエスト・オンラインは、需要が発生した時に、優先的に選んでもらおうという戦略です。

具体的には、「人件費より多いというほどのネット広告」に力を入れていこうというわけです。

葬儀業界のように需要の頻度が少なく、かつそのタイミングがつかみにくい業界というのは、需要が発生したタイミングで、消費者が能動的に調べるという行動をとるため、ネット広告とは大変相性がよいです。

ネットという媒体を使用して、集客するということになると、どうしても価格訴求の側面が強くなることは否めません。
もともと関心が薄い分野であるだけに、事前に価値を伝えることに限界があるためです。

しかし、その点でも、ユニクエスト・オンラインは低価格の商品で、件数をとっていこうという戦略は、理にかなっています。

※葬儀の単価は平均で140万円ほどですが、ユニクエスト・オンライン173,000円からだそうです。

但し、ネットで低価格という戦略は、理にかなっているものの、真似しやすく参入障壁は低いため、今後とも優位性を保てるかは、微妙なところです。

事実、同社のHPをみていたら、そのようなことが実際に書いてありました。

「時代の変化に伴い『小さなお葬式』が、受け入れられるようになった昨今、同様のサービスを展開するホームページが次々に現れ、中には弊社が生んだサービスを、そのまま模倣するホームページまでも見られるようになりました。」

(参考)http://www.osohshiki.jp/about/difference/

今後、どう差別化をしていくかは、課題になりそうですね。

応用例

①スーモ

需要の頻度が少なく、かつそのタイミングがつかみにくい、ということだと、住宅業界もその条件に当てはまります。

そこで、囲い込みの一環としてSNSを利用するものよいでしょう。

SNSだとゆるく繋がれるというメリットがあり、一度つくった関係性の落ち込みを軽減することが期待できます。

リクルートのスーモなどは、このような意味でfacebookを利用しているようです。

具体的には、キャラクターをフックにテレビCMでブランド認知を行い、facebookでブランド認知の低下をふせぐということを行っています。

おまけ

ペット葬で、一度体験していただく、というのもよい方法かもしれませんね。

なかなか、葬儀というのはリピートが期待しにくい分野であり、どうしても新規顧客が中心となってしまいますが、ペット葬での体験に満足した顧客であれば、リピートが期待できます。

戦略的に、ペット葬の価格を安くするなどして、ペット葬に注力することも考えられます。