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スズキの軽SUV『ハスラー』が好調です。

一時は納車まで7か月とも言われたともいわれたそうです。

今回は、この『ハスラー』について、取り上げてみたいと思います。

まずは、MJの記事より。

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・昨年1月の発売以来10万台以上を売る大ヒットとなり、20代から30代の男性や女性など、顧客層拡大に貢献している
・新しいジャンルを作ったハスラーの開発手法は「お客様の声」の聴き方や生かし方について重要な示唆を与える
・商品開発の現場では、市場調査などでお客様の声を聞こうと努力する。
・特にターゲットの声は重要だ。スズキも「ワゴンR」のような主力車の新車開発では明確なターゲットを設定し、そこへの綿密な市場調査を行う。
・ところが、新ジャンルの創造が目標だったハスラーは、敢えて詳細はターゲットは設定せず「アウトドアに興味のあるアクティブなライフスタイルな人」にとどめた。
・市場調査も、キャンプ場やサーフィン好きが集まる場所でインタビューや荷室を観察する手法をとった。
・調査を進めていくうちに、開発チームは不満解消のため自分で工夫するユーザを発見する。
・例えば、車内の壁にネジ穴をあけている人。
・荷物を整理するためボルトとベニア板で棚を自作していたのだ。
・開発チームからすると思いもつかないことである。
・棚が欲しいニーズは理解できるが、開けた穴の部分の処理が不十分だとサビができ、故障の原因にもつながるからだ。
・一般的な市場調査では、「極端な」ユーザは例外として分析の対象外となることが多い。
・だが、開発チームはこのような工夫を例外扱いせず、「本当に困っていることの表れ」ととらえた。
・ネジ穴の例が示すように、極端なユーザの工夫はプロの目には荒削りで滑稽に見えるかもしれない。
・しかし、彼らはある事柄に対して圧倒的な経験値と情熱を持つ。
・そんな尖ったユーザの工夫は、平均的なユーザにとっても魅力的だろう。
・キャンプをしたことがない学生が、キャンプ用のアクセサリーでフル装備したハスラーをみて、こうつぶやいた。
 「キャンプをしてみたい」
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「詳細なターゲットを設定しない」
「極端なことをするユーザに着目する」

一見すると、なかなか大胆な取り組みのようにも思えますが、
私は、この取組、非常にすばらしいと思います。

エクストリームユーザ

軽自動車というと、特に’実用重視’といった姿勢が大半であるように思います。

具体的には、

・室内空間を広く、
・燃費がよい

といった切り口の車がおおく、
ともすれば、似たような車ばかりになっている
というのが現状といえるかもしれません。

確かに、室内空間を広く、燃費がよい車は、
多くのユーザの意見であり、
そのような車は、ユーザのニーズを満たすため
’需要のある車’にはなるのかもしれません。

しかし、私は、このような姿勢、

ユーザの声を聴く⇒ユーザの声そのままのものをつくる⇒需要が見込める

といったような図式で商品開発するのは、そろそろ限界がきているのではないか思います。

この発想の根本にあるのは、満たされていない需要はどこかにあり、
そこに商品を投入しさえすれば物は売れるはずだ、
という考えです。

このような発想は、高度経済成長期のような供給能力が不足している状況ではよかったでしょう。

しかし、実際、そのような’満たされていない需要’というのはあるでしょうか?
(これだけモノやサービスが飽和した現代において)

あったとしてもすぐに発見され、
すぐにそのような需給のギャップは満たされ
そうなれば、あとは価格競争の世界で、
利益の望めない世界に陥ってしまうでしょう。

したがって、このように「既にある需要を追っていく」という姿勢には、
そもそも無理があると思うわけです。

そこで、

「需要を作り出さなければならない」

ということになるわけですが、

その作り出す方法として、スズキは、

「エクストリームユーザ」に学ぶという手法をとったわけです。

では、なぜエクストリームユーザに学ぶかというと、

エクストリームユーザは、「既にある需要」をもっているユーザなのではなく、

「満たされていないニーズ」すなわち、

「新たな需要」をもっていると考えられるからです。

このように解説してしまうと、スズキの取り組みは
至極普通とおもわれますが、
なかなか簡単にできることではありません。

いわば、ボリュームゾーンを切り捨てるわけで、

「一部の例外的なユーザのニーズを満たすのでは、
 マスの支持を得られないのではないか」

などの反対意見もでてくることが考えられます。

もしそのような反対意見がでた場合、
上記のような組立がきちんとできていないと、
このような取り組みは、容易に頓挫してしまうでしょう。

ゆえに、簡単なことではないわけです。

また、エクストリームユーザの意見を取り込むということは、
次のような観点でも有用だと思われます。

エクストリームユーザは、ネジ穴をあけるなど、
極端なことをするわけで、そのニーズは非常に強いものがあります。

したがって、そのようなニーズを満たす車をつくれば、
熱狂的に支持されることになります。

そしてそのような支持を得ることができれば
その熱は伝搬します。

だからこそ、キャンプをしたことがない学生が、

「キャンプをしてみたい」

とつぶやくことになるわけです。

ここで注目したいのは、キャンプをしたことがない学生は、
ハスラーに触れるまで、キャンプをしたいとは思っていなかったわけです。

つまり、ハスラーに触れることで、
需要を作り出したといえるわけです。

おまけ

わたしも、実はこのハスラー、
試乗したことがあります。

本当は、別の車を見に行ったのですが、
ハスラーを見た途端、

「この車でオートキャンプにいったりしたら、さぞかし楽しいだろう」

と、大いに夢をみてしまったのです。

そして、帰るときには買いたくなっていたのです。

まさに、需要が創造されたわけであります。