今回は、寺田倉庫が4月に始めた「ミニクラヴ 元カレBOX・元カノBOX」を参考に、
PR(パブリックリレーション)の仕方について考えていきましょう。

まずは、MJ(日本流通新聞)の7/6の記事から。

これどういうもの?

・9か月付き合った恋人と6月下旬に別れたという都内在住30代のAさん。
・「女々しいのはわかっているんですけど、関係が終わったからといって、思い出のモノを捨てるほど吹っ切れていないので申し込みました。次に進むためににも・・・・」
・彼が利用したサービスが、寺田倉庫が4月に始めた「ミニクラヴ 元カレBOX・元カノBOX」。
・インターネットで注文すると送られてくる専用の段ボールに、過去の恋人との思い出の品を詰めて発送すると、1個月額250円で預かってくれる。
・保管品は同社が写真を撮ってリストに。
・利用者は、ウェブ上でいつでも閲覧できる仕組みだ。
・このサービスは、洋服や本など段ボール の中身を一つずつ個品管理できる同社の既存サービスの認知向上をねらって考えられた。
・サービス開始から約4か月で想定を大きく上回る約400人が利用。
・SNS(交流サイト)のツイッターで は、開始2週間で5000ツイードの反応があった。
・利用者の中心は30~40代で、男性が 7割、女性が3割を占める。
・多くは新規契約者という。

(参考)
 https://minikulove.com/

 なかなか面白い企画ですよね。
 それでは、マーケティグ的な仕掛けを見ていきましょ う。

マーケティング的な仕掛けは?

①シュチュエーション限定による商品認知の促進
 
 商品は同じでも、ターゲットを変えて、切り口を変えることによって
 商品の印象は全然変わっています。

 例えば、小林製薬の「熱さまシート」。

 これが、「どこでも冷やせる万能冷却シップ」であったらどうでしょうか?

 どこでも冷やせていいなぁ、と思うでしょうか?

 そうではなく、どういう時に、どうやって使ったらいいんだろう?
  
 となるのではないでしょうか。

 「熱さまシート」って、「熱さまシート」の名前とともに、おでこに貼るイラストがまず印象的ですよね。

 これにより、商品を使うシュチュエーションとどうやって使うかを端的示されることで、
 商品の認知と理解が促進され印象に残る、というわけですね。

 
 この「元カレBOX・元カノBOX」も同じです。

 寺田倉庫にもともとあった個品管理 できる保管サービスの一利用例を、
 わかりやすく示すことにより、商品の認知と理解を促進しよう、というわけです。

 新たなサービスや商品というのは、とかく理解という障壁を取り除くのが、一番の先決です。

 その際、如何に端的に、象徴的でわかりやすい成功事例を指し示すことができるか、
 これがキーになります。
 

②PR

 新たにサービスを立ち上げるとなると、それなりの広告宣伝をしなくてはいけないわけですが、
 それには、当然コストがかかります。

 このコストを、できるだけ節約したいわけですが、その際、利用できる強力な手段が、
 マスコミなどに取り上げてもらうという手法、つまりPRです。

 通常、我々は広告とわかると真面目に読んだり、見たりすることがないわけですが、
 マスコミの記事となると、興味をもってみます。

 したがって、広告効果が高まるわけですね。

 また、一般的に、自薦より他薦のほうが説得力というのもあります。

 
 マスコミに取り上げてもらうためには、当然、話題性がなければいけません。

 その話題性には企画が面白い必要があるわけですが、面白くするには知恵はいります。

 しかし、コストがかからないことがメリットです。

 ポイントは、とことんやることです。

 人を中傷したりするのはよくないですが、悪ノリと思われるくらいがちょうどよいです。

 「元カレBOX・元カノBOX」も、HPをみてみる と、かなり面白可笑しく作られていますよね。

 ・その恋愛残留物は危険すぎる! 
 ・安心安全な妄想システム
 ・ラブレター肉声化システム

 等々

 話題になるとう意味では、大変成功しているといえるのではないでしょうか。

 (参考)https://minikulove.com/
  
  
 5000件のツイードあるというのも、納得です。

おまけ

 さて、このサービス。

 これまで、400人 の利用ということですが、HPや、その上での動画など、それなりにコストをかけているので、
 このサービス自体は いまのところ赤字だと思われます。
 
 しかし、PR効果に より、全体的に個品管理のサービス自体は伸びているのではないかと思います。

 このあたりの数字が どうなっているのか、興味のあるところです。

 
 ここまでが、マーケ ティングの話。

 ここからは、少々、 妄想的な話になりますので、
 ご興味のある方の み、読み進めてください。

 この、寺田倉庫のWebを利用した個品管理ですが、やっていることは、

 「もの」の情報化で あると思います。

  本来、物理的なものであったものを、物理的な手触りを取り去り、
  
  Web上で表現できるかたちに情報化した、といえます。

 またさらに、もっと いえば、情報化したもののインデックス化であると思います。

 Googleは、情報を整理し、インデックス化して情報を取り出しやすくしましたが、

 寺田倉庫も、同じように自分の思い出を、インデックス化し取り出しやすくし たといえます。

  
  この結果、どのようなことがおきるか。

 それは、ものが情報化された他の事例が参考になります。

 その事例とは音楽です。

 音楽も、CDという「もの」であったものが、情報化(データ化)され、ものを持ちたない形式となりました。

 その結果どうなったか。

 需要が落ちた

 です。

 つまり、人は音楽を消費しなくなりました。

  
 実は、CDというものがあるから、ものの購入を通じて、音楽に触れていたのが、
 ものがなくなってしまったため、音楽の消費自身もしぼんでしまった、といえるかと思います。

 この事例から想像されることは、インデックス化した自分の思い出の品々は、

 「いらなくなる」

 です。

 つまりは、「元カレBOX・元カノBOX」のサービス自体を契約解除にとどまらず、
 預けた品自体がいらなくなる、という動きが考えられます。

 
 そうなると、寺田倉庫は次に何を考えなくてはいけないか。

 もしかすると、中古品買い取りサービス、および、その流通ルートの確保であるかもしれません。

 現場をみての考察ではないので、少々的外れになっているかもしれないですが、
 こうやって、仮説をもって、周辺の事業にアンテナをはっておくことは損にはならないでしょう。