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吉野家が先日値上げしましたね。

それも、80円も。

今回は、この値上げを取り上げてみます。

まずは、12/22のMJより。

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・17日午後3時、吉野家HDの牛丼店「吉野家」の牛丼並盛は380円と80円値上がりした。
・消費者はどのように受け止めているのか。
・女性会社員(30)は「380円の牛丼並盛にサラダとお新香をつけたら、ファミリーレストランで食事をする時の価格に近づく」。
・値上げを知らずに来店した男性会社員は「これまで値段に注目して牛丼店を利用してこなかったが、80円も値上げしたのかという感覚」と驚いていた。
・男性会社員(38)「これまでが安かった。食材価格が上がっているので値上げはやむを得ない」
・女性専門学校生(32)「牛丼は吉野家と決めている。でも値上げしてほしくなかった」
・男性会社員(46)「週1回は吉野家に行っていたが、80円も上がってしばらくいかなくていいかな」
・男性モデル(19)「やはり安いところに行きたい。吉野家に行くのは厳しくなる」
・「牛丼並盛りはいくらまでなら食べるか」と尋ねた。最高は500円、採点は300円で、10人の平均は404円。

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さまざまな意見があるようですが、

結論から言うと、この値上げ、そこそこ成功するのではないか、と思います。

内的参照価格

価格に対する重要な概念に、内的参照価格というものがあります。

これは、商品やサービスには、消費者それぞれが持っている、
だいたいこの商品だったらこのくらいというような、
おおよその価格というものがありますが、
このおおよその価格のことを、内的参照価格といいます。

最近、ホテルの予約がなかなか取れないようです。

特に京都などはひどいです。

なんでも、一年前から予約が必要とも聞きます。

そうなると、当然価格も上がってくるわけです。

ホテルズドットコム(Hotels.com)の2014年上半期の「Hotel Price Index(HPI)」によると、
日本国内のホテル宿泊料金が調査対象の9都市すべてで増加しました。

どのくらい上昇したかというと、

横浜で、前年比25%増の1万2082円。

次いで、福岡が21%増の1万230円、大阪が19%増の1万1812円。

平均宿泊料金が最も高い東京は17%増で1万5000円だそうです。

この値上げ、経済的な道理としてはわかるのですが
感情的には違和感があり、なかなか受け入れられない。

いつもと同じサービスが、20%値上げされる。

この違和感こそが、内的参照価格との齟齬といえます。

同じような例で、マクドナルドも、一時期地域によって値段を変えたことがありましたが、
これも、またなかなか受け入れがたい施策であったように思います。

個人的には、大失敗だったと思います。

そもそも、マクドナルドのようなチェーン店は、
どこでも均一のサービスを受けられることが
最大の売りであるはずであり、
その売りを手放すということは、
どうしても得策であるようには思えません。

もちろん、商売の道理としてはわかるのですよ。

需要と供給により価格がきまる。当たり前ではないかと。

確かに、計算上はその通りで頭で理解はできるのですが、感情はそうはいきません。

下手をすると、その企業にたいする不信感につながりかねません。

なお、吉野家でも、地域別価格を導入したらどうかという議論があったようですが、
それをやめるのは賢明であったと思います。

この値上げが成功するのか

では、冒頭の結論、なぜ吉野家のこの値上げが成功するのか、

ということですが、

これまでの議論をたどれば、内的参照価格との齟齬により、
多くの消費者に受け入れられないとも思われます。

しかし、そうはならないと私は考えております。

確かに、客数がある程度少なくなるでしょう。

実際、わたしも先日吉野家に行ったとき、牛丼の並盛のみを頼む人が多いことにびっくりしました。

たまごは好き嫌いあっても、できれば味噌汁くらつければいいのに、
と大きなお世話な?感情を抱きました。
(これも消費税の影響かと思われます。)

このような客層は、一斉に離れることが予想されます。

少なくても、一時的には、そうなるでしょう。

では、なぜ、この値上げがそこそこ成功するのか。

端的にいえば、それはかつて、並盛が400円だったから、です。

そして、250円のときも品質を落としていなかったから、です。

これはどういうことかというと、
2000年くらいまで、吉野家は牛丼並盛を400円で販売していました。

その当時を知っている世代からすると、
吉野家の牛丼並盛の内的参照価格は400円であると想像されます。

つまり、250円のときも、400円のときと同じ品質のものを出していたので、内的参照価格を維持できた、と。

これが、250円になって、質が落ちたのなら、
内的参照価格も低下し、250円となっていたでしょう。

某ハンバーガーチェーンのように。。。

逆に、吉野家のケースに至っては、
250円の時、内的参照価格より著しく安い価格で食べさせてもらっていいのだろうか
という、感情すらあったように思われます。

つまり、内的参照価格との良い意味での齟齬によって、ロイヤリティを醸成していたとも考えられるのです。

もう一つの理由は、牛すき鍋膳という高価格の商品(630円)がヒットしたこともあり、
消費者も、高価格商品への耐性がついてきていること、があげられます。

とはいっても、消費税の影響は極めて大きく、
400円の内的参照価格が形成されていない35歳以下の層や
価格へのシビアな層に対しては、
この値上げは受け入れられないでしょう。

よって、確実に客数、売り上げは減るでしょう。

ではありますが、持続的な利益の観点では、値上げしたほうが得策なのではないかと思うのです。

ポイントは、売上や客数で評価することではなく、あくまで利益で考えることが大切です。

それと同時に、この値上げが、
価格に反応する層へ依存するビジネスから、
価値を提供するビジネスへ転換するきっかけにしようということなら
さらに知恵も出てきましょうし、よい方向に展開していくことが期待できます。

市場の見方

さて、このようにさまざまな見方はあるわけですが、
市場はどのようにみているかというと、
概ね好意的にみていることがうかがわれます。

12/9の値上げ発表以来、以下のような株価の動きをしています。

12/8 1,327
12/9 1,342
12/26 1,367

12/9は、株価を上げているし、それ以降ずっと上げ続けています。(約3%)

(参考)http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=9861.T

少なくとも、投資家は好意的に見ているようです。